オール・ブラック - α - 脳//Nous (後編)

どれだけ時(とき)を過(す)ぎたかは全然(ぜんぜん)確(たし)かめない。今(いま)、僕(ぼく)の思考(しこう)は全(まった)く休(やす)めている、こんなに夢(ゆめ)のない眠(ねむ)りなのに、僕(ぼく)は安(やす)らかく休(やす)めない。この孤独(こどく)な時間(じかん)は落下(らっか)な感覚(かんかく)に破(やぶ)れてた。体(からだ)は急(きゅう)に高(たか)い所(ところ)から落(お)ちるような、重(おも)く感(かん)じる。でもその落下(らっか)は感(かん)じなかった、ただその後(あと)のショックは僕(ぼく)を驚(おどろ)かした、そして僕(ぼく)を起(お)こした。
「あっ!」
七人(しちにん)と抗(あらが)った、その同(おな)じ部屋(へや)に目(め)を覚(さ)ました。息(いき)を弾(はず)ませているでも、僕(ぼく)は安(やす)に目覚(めざ)ました、今度(こんど)は周(まわ)りを確認(かくにん)するや自分(じぶん)を守(まも)り反応(はんのう)必要(ひつよう)がない。この静(しず)けさは状況(じょうきょう)を判断(はんだん)するチャンスをくれた。
今(いま)僕(ぼく)は小(ちい)さい船(ふね)の保健室(ほけんしつ)にいる。前回(ぜんかい)と違(ちが)う、今度(こんど)は寝台(しんだい)からユックリ降(お)りて、そしてドレープの向(む)こうの廊下(ろうか)を見(み)つけた。この保健室(ほけんしつ)はこの廊下(ろうか)の果(は)てにある、ここから行(ゆ)き先(さき)はたった一方(いっぽう)しかいない。
この船(ふね)のゆらりのせいで、壁(かべ)に手(て)を掛(か)ける。この廊下(ろうか)の壁(かべ)と床(ゆか)は鉄製(てつせい)から、手(て)と裸足(はだし)は寒(さむ)くになった。
歩(ある)くながら、僕(ぼく)の視界(しかい)に歪(ゆが)みている白衣(はくい)を着(き)る黄色(きいろ)の幽霊(ゆうれい)たちが現(あらわ)れた。その影(かげ)の存在(そんざい)も何(なに)かの雰囲気(ふんいき)音(おと)を引(ひ)き起(お)こさせる、ベラベラの声(こえ)をしている。その影(かげ)が現(あらわ)れた後(あと)、また鼻下(びか)に潤(うるお)って気(き)がする。その辺(へん)を擦(す)ると、確(たし)かに鼻穴(びけつ)から何(なに)かの液(えき)が滴(したた)る。手(て)を見(み)ると、指(ゆび)が血(ち)に濡(ぬ)れている。自分(じぶん)の様子(ようす)を心配(しんぱい)が、でも手(て)を下(さ)がったとたん、もう黄色(きいろ)の影(かげ)とその声(こえ)が消(き)えてしまった。
廊下(ろうか)の果(は)てにあった戸口(とぐち)に、光(ひかり)が突(つ)き刺(さ)さっている。その眩(まぶ)しい光(ひかり)に近(ちか)づくながら、目(め)を塞(ふさ)いでる。この果(は)てにある小(ちい)さい階段(かいだん)を登(のぼ)る、上甲板(じょうこうばん)に着(つ)いた。上甲鈑(じょうこうばん)には少(すこ)しずつ眩(まぶ)しさに慣(な)れている。僕(ぼく)はなんか「これは久(ひさ)しぶりの陽光(ようこう)と青空(あおぞら)」って信(しん)じた。目(め)が適応(てきおう)しているほど、この船(ふね)は漁船(ぎょせん)だと気(き)づいた。
上甲鈑(じょうこうはん)には四人(よんにん)がオロチョロしている。一番目(いちばんめ)は取(と)り舵(かじ)に座(すわ)っている、彼(かれ)は保健室(ほけんしつ)に倒(たお)した強(つよ)いそうな男(おとこ)だった。二番目(にばんめ)は同(おな)じく取(と)り舵(かじ)に立(た)っている、ただ一番目(いちばんめ)からチョット遠(とお)くだけ、彼(かれ)は一番目(いちばんめ)男(おとこ)比(くら)べにチョット低(ひく)い、彼(かれ)のならでは彼(かれ)を被(かぶ)る赤(あか)い鍔(つば)の黒(くろ)い帽子(ぼうし)。次(つぎ)は面舵(おもかじ)に四番目(よんばんめ)男(おとこ)と話(はな)している。三番目(さんばんめ)は半(はん)ズボンを着(き)る、そして最後(さいご)は炎色(えんしょく)縞(しま)の白(しろ)いシャーツを着(き)る。帽子(ぼうし)の男(おとこ)と半(はん)ズボンの男(おとこ)は僕(ぼく)の存在(そんざい)を気(き)づいた、彼(かれ)らはその他(た)の二人(ふたり)を知(し)らせて、そして半(はん)ズボンの男(おとこ)は下甲鈑(かこうはん)への戸口(とぐち)のとなりにあった扉(とびら)を入(はい)った。
「ねっ、お前(まえ)大丈夫(だいじょうぶ)か?」
僕(ぼく)が倒(たお)した男(おとこ)は近寄(ちかよ)って、握手(あくしゅ)を供(そな)えて。疑(うたが)いてる彼(かれ)の手(て)を見(み)つめて、そしてシブシブに返事(へんじ)する。彼(かれ)は以外(いがい)に気(き)が安(やす)い、前回(ぜんかい)と違(ちが)って、でもそれは僕(ぼく)のせいだろう。
「オレはモリー、お前(まえ)ドクターに話(はな)せば?」
「ドクター?」
自然(しぜん)に、最初(さいしょ)に浮(う)かんでたはアインホーンの名前(なまえ)、でもそう簡単(かんたん)にはないはず。それでも僕(ぼく)にあった事(こと)は僕(ぼく)とアインホーンを別(わか)れたんだろう。
「あぁ、ティムが呼(よ)んで行(い)った。」
彼(かれ)は目(め)を逸(そ)らした、そしてさっきの半(はん)ズボン男(おとこ)入(はい)った扉(とびら)に指(さ)した。
「キタキタ。」
彼(かれ)が指(さ)した扉(とびら)から二人(ふたり)の男(おとこ)が出(で)ると見(み)ると、彼(かれ)は元(もと)に戻(もど)った。その二人(ふたり)は半(はん)ズボン男(おとこ)と、思(おも)い当(あ)たったら、気絶(きぜつ)の前(まえ)に最後(さいご)見(み)た男(おとこ)だった。
「ドクター?」
「そう。私(わたし)はヨルダン。キミはもう元気(げんき)かね?」
彼(かれ)の正体(しょうたい)の確認(かくにん)が僕(ぼく)にガッカリをした。チョットだけモリーが付(ふ)せた「ドクター」は「アインホーン」って欲(ほ)しかった。だがヨルダン(よるだん)がその扉(とびら)から出(で)たとたん、彼(かれ)とアインホーンの影(かげ)は格好(かっこう)と声(こえ)が違(ちが)うって僕(ぼく)は認(みと)め始(はじ)まった。
「まぁ。僕(ぼく)に何(なに)があった知(し)ってますか?」
「それは言(い)えないねぇ。」
また何(なに)も知(し)らない一般人(いっぱんじん)だ。
「正直(しょうじき)、我(われ)らもキミがそれを説明(せつめい)を貰(もら)うかと思(おも)った。」
ヨルダンは平手(ひらて)で下甲鈑(したこうばん)に指(さ)す、そして保健室(ほけんしつ)に僕(ぼく)を導(みちび)く。
「で、僕(ぼく)に何(なに)があったでしょうか?」
「我(われ)らも検討(けんとう)が付(つ)けない。キミは最後(さいご)に覚(おぼ)える事(こと)は何(なん)だ?」
「えっと、僕(ぼく)は海(うみ)に浮(う)かんでいる。夜(よる)で...」
「イヤイヤ、キミ自身(じしん)のことは?」
「...」
また自分(じぶん)の事(こと)を思(おも)え出(だ)せ見(み)る。でも自分(じぶん)の思考(しこう)は記憶(きおく)隠(かく)しが上手(うま)くすぎて、一斑(いっぱん)でもなく、何(なに)も思(おも)え出(だ)せない。まるで僕(ぼく)は昨日(きのう)で生(う)まれたバッカリ。
「悪(わる)い、何(なに)も覚(おぼ)えてない。」
「そうか。」
彼(かれ)は一言(ひとこと)をした。彼(かれ)の声(こえ)は憮(いつくし)むく聞(き)こえた。
このお喋(しゃべ)りが終(お)わるとき、僕(ぼく)らは保健室(ほけんしつ)に着(つ)いた。ヨルダンはドレープの戸口(とぐち)を開(あ)けそして入(はい)った。僕(ぼく)は彼(かれ)の後(うし)ろに付(つ)けてそして止(と)まった、彼(かれ)の話(はなし)を待(ま)つ。
「待(ま)って、どれだけ無意識(むいしき)した?」
「14時間(じかん)くらいかもね、その前(まえ)にキミ(きみ)は5時間(じかん)くらい無意識(むいしき)した。」
「僕(ぼく)が起(お)きるそして仲間(なかま)と抗(あらが)って前(まえ)にでしょうか?」
「アハハ、そうだよ。」
彼(かれ)は愨(つつし)むく笑(わら)った。
「モリーってこの船(ふね)に一番(いちばん)強(つよ)い、でもキミはソイツを倒(たお)した。」
「えっ、本当(ほんとう)に?」
「キミは四人(よんにん)の抑制(よくせい)から破(やぶ)れた。」
今(いま)は違(ちが)うだろうな。
「どうしてそれがやったのか分(わ)からない。今(いま)の僕(ぼく)はあの椅子(いす)を動(うご)かせるとは思(おも)えない。」
「多分(たぶん)アレはアドレナリン急増(きゅうぞう)かも。」
そうかも知(し)れない、あの時(とき)の僕(ぼく)はすごく凶暴(きょうぼう)だったし。
「キミが見(み)つかったら時(じ)、キミはこれを着(き)るんだ。」
ヨルダンは壁(かべ)の鏡(かがみ)の隣(となり)にあったコートを取(と)る、そして僕(ぼく)に渡(わた)した。このコートはトッテモ厚(あつ)い、そのフードに皮(かわ)が飾(かざ)った。なんか冬(ふゆ)の上着(うわぎ)見(み)たい。すぐそのコートのポケットの中身(なかみ)に手掛(てが)かりを探(さが)して。そのサイドポコッと、そして懐(ふところ)、だが何(なに)も見(み)つからない。一(ひと)つ気(き)になるのは左(ひだり)の懐(ふところ)の上(うえ)に付(つ)けたネームタグ。
「セオドア・クエンティン」
「キミの名(な)のか?」
ヨルダンは僕(ぼく)がネームタグに集中(しゅうちゅう)してるを気(き)づいた。今(いま)僕(ぼく)の脳(のう)はこの名(な)を侵略的(しんりゃくてき)な照合(しょうごう)をしている。頭(あたま)が痛(いた)むほど自分(じぶん)が思(おも)い出しを努(つと)めている。その痛(いた)みを抑(おさ)えて、指(ゆび)を左目(ひだりめ)に圧(あっ)す、だがこんなに痛(いた)いのに、僕(ぼく)は何(なに)も思(おも)え出(だ)せない。
「やはり何(なに)も覚(おぼ)えてない。」
「無理(むり)しなくてもいい。」
もし僕(ぼく)が急(きゅう)に倒(たお)れる場合(ばあい)、ヨルダンは僕(ぼく)を寝台(しんだい)に座(すわ)らせていて。こうは気(き)に入(い)らないが、でも仕様(しよう)が無(な)い。
「何(なに)が悪(わる)いんだ?何(なん)で僕(ぼく)は何(なに)も覚(おぼ)えてない?」
「...」
ヨルダンは僕(ぼく)に睨(にら)めている、彼(かれ)の目(め)は好奇心(こうきしん)で藪睨(やぶにら)みしている、彼(かれ)が同(おな)じ質問(しつもん)を聞(き)いているとは分(わ)かる。
「私(わたし)の見立(みた)ては、キミは酷(ひど)い記憶喪失(きおくそうしつ)している、キミの長期記憶(ちょうききおく)は患(わずら)わった。神経科医(しんけいかい)はないから、私(わたし)は詳(くわ)しく言(い)えない。」
「ウッ―」
頭(あたま)の痛(いた)みを抑(おさ)えるため、指(ゆび)をもっと固(かた)めく左目(ひだりめ)に圧(お)す。この痛(いた)みのともには、僕(ぼく)の視界(しかい)に歪(いが)みている幽霊(ゆうれい)が現(あらわ)れて。でもさっきと違(ちが)う、今度(こんど)はイロイロの色(いろ)の幽霊(ゆうれい)たちが現(あらわ)れた。クスクス笑(わら)っているながらアッチコッチにこの部屋(へや)で遊(あそ)んでいる。
「どうした?」
僕(ぼく)が急(きゅう)に彼(かれ)の肩(かた)から手(て)を話(はな)したそして自分(じぶん)の顔(かお)を圧(お)してると、ヨルダンは叫(さけ)んだ。彼(かれ)は僕(ぼく)を抑(おさ)えて、そして寝台(しんだい)に僕(ぼく)を眠(ねむ)らせて。
「ヨルダン、アレを見(み)るか?」
僕(ぼく)が見(み)えた幽霊(ゆうれい)たちに指(さ)しているながら、僕(ぼく)は聞(き)かせた。
「何(なに)が?」
彼(かれ)は見(み)えないな、その幽霊(ゆうれい)たちは僕(ぼく)しか見(み)えない。
「いいえ、何(なん)でもない。」
その幽霊(ゆうれい)たちは一人一人(ひとりひとり)で消(き)えてしまう、一人(ひとり)が消(き)えて度(たび)に、頭(あたま)が楽(らく)になる。
「正体(しょうたい)の手(て)がかりがいなかったら、じゃ僕(ぼく)セオドア・クエンティンで読(よ)んでもいい。」
「...」
彼(かれ)は沈黙(ちんもく)した、僕(ぼく)に睨(にら)めていて。今度(こんど)は彼(かれ)の目(め)から審査(しんさ)が感(かん)じた。
「昨夜(ゆうべ)我(われ)らはキミの事(こと)を調(しら)べて見(み)たんだ、キミは飛行機(ひこうき)事故(じこ)で探(さが)されている。」
「飛行機(ひこうき)事故(じこ)?」
「キミは私立(しりつ)企業(きぎょう)に護衛(ごえい)していた見(み)たい、そして事故(じこ)があった、キミの記憶喪失(きおくそうしつ)はその製(せい)かも。」
「そうか。で、僕(ぼく)が護衛(ごえい)された飛行機(ひこうき)の行(ゆ)き先(さき)は?」
「インド。」
「じゃ、僕(ぼく)が行(い)くべき場所(ばしょ)はそれな。」
「明後日(あさって)、我(われ)らはモンバサに上陸(じょうりく)する。ソイツらはモンバサの港(みなと)にキミを向(む)かってくると揃(そろ)えた。」
「ありがとう。」
「気(き)にしない。」
「ね、僕(ぼく)あなた達(たち)に何(なに)かを手伝(てつだ)えないかな?」
その朗報(ろうほう)を貰(もら)ったは嬉(うれ)しい。ヨルダン(よるだん)さんとの仲間(なかま)がいなかったら、僕(ぼく)は海(うみ)に終(お)わったんだろう。せめてお礼(れい)にこうくらいならやる。
「いいよ、キミは休(やす)め。」
「そうはいけない。」
なんか息気(いきき)に燃(も)えてる気(き)がする。自分(じぶん)で保健室(ほけんしつ)から上甲板(じょうこうはん)へ出(だ)す、何(なに)かのやれる事(こと)を探(さが)す。それに前回(ぜんかい)の頭痛(ずつう)からには、今(いま)の僕(ぼく)は力(ちから)が持(も)つ。今(いま)の頭痛(ずつう)はただこの船(ふね)のゆらりからだけ。
「キミは休(やす)め方(かた)がいい。キミはまだスッカリ検査(けんさ)してないから。」
「いいえ、今(いま)は大丈夫(だいじょうぶ)。それに僕(ぼく)が出来(でき)る事見(ことみ)たんだろう?仲間(なかま)全員(ぜんいん)倒(たお)した。」
廊下(ろうか)に早歩(はやある)きする、また陽光(ようこう)が眩(くら)みついた。何(なに)かをやりたいのは保健室(ほけんしつ)から見えない陽光(ようこう)と青空(あおぞら)をもっと見(み)たいから。
上甲鈑(じょうこうばん)に着(つ)くと、一人(ひとり)の乗員(じょういん)がいなくなった、ここは三人(みひと)だけしかいない。強(つよ)いそうのおとこと半(はん)ズボンのおとこと炎色(えんしょく)縞(しま)シャーツのおとこだった。
「本当(ほんとう)か?」
「あぁ、もう随分(ずいぶん)治(なお)った。」
半(はん)ズボンの男(おとこ)は僕(ぼく)らを気(き)づいた、彼(かれ)からには僕(ぼく)たちは喧嘩(けんか)している見(み)たいだろう。
「よヨルダンさん、どうした?」
「おう、ティム。キミらまだ紹介(しょうかい)してないよね?」
「あぁ、まだ。」
「じゃセオドア君(くん)、こっちはティム。それでティム、こっちはセオドア。」
ヨルダンは僕(ぼく)とティムを紹介(しょうかい)する。この人(ひと)は昨夜(さくや)の抗(あらが)いからに覚(おぼ)えてる。
「どうも、あの時(とき)は済(す)まなかった。」
「大丈夫(だいじょうぶ)。それよりさ、モリーよりお前(まえ)のほうは非常(ひじょう)につよいな。四人(よんにん)まで破(やぶ)れたし。」
ヨルダンは首(くび)を振(ふ)って、ティムと内談(ないだん)に招(まね)いた。僕(ぼく)はその招(しょう)を分(わ)かって、少(すこ)しだけ下(さ)がった。
この距離(きょり)からは、ヨルダンが何(なに)かを囁(ささや)いてく話(はな)しているみたい。ティムは賛成(さんせい)そうはしてない。囁(ささや)いてく、彼(かれ)らは争(あらそ)ってるみたい。
漸(ようや)く彼(かれ)らは賛成(さんせい)を着(つ)いた。話(はなし)のあと、ヨルダンは僕(ぼく)に戻(もど)って、それにティムは仲間(なかま)の元(もと)に。
「悪(わる)い、用事(ようじ)があった。」
「僕(ぼく)のせいか?」
「いやいや、キミなんかじゃない。キミは知(し)っているよね、これは漁船(ぎょせん)とは。」
「そう。」
「前回(ぜんかい)の嵐(あらし)で、我(われ)らは一人(いちにん)を失(うしな)った。八人(はちにん)でも、あの時(とき)はギリギリ生(い)き抜(ぬ)けた。」
ヨルダンが話(はな)しているながら、ティムは他(た)の乗員(じょういん)を集(あつ)めている。この間(あいだ)みた乗員(じょういん)ともう一人(ひとり)の上甲鈑(じょうこうばん)の扉(とびら)から出(で)たの見(み)たことない開けっぱり青(あお)いシャーツを着(き)る男(おとこ)。
「今日(きょう)の予報(よほう)は言(い)った、モンバサに航(こう)するなら、また嵐(あらし)が通(とお)り過(す)ぎてないと。」
「あっ、僕(ぼく)らは人(ひと)が足(た)りないんだ。」
青(あお)いシャーツ男(おとこ)は会話(かいわ)に交(まじ)わり。彼(かれ)は僕(ぼく)らに向(む)いていない、彼(かれ)は地平線(ちへいせん)に集(あつ)まった積乱雲(せきらんうん)に向(む)いてる。
「その嵐(あらし)が生(い)き抜(ぬ)けたいなら、お前(まえ)の力(ちから)が必要(ひつよう)だ。」
「あぁ、扶(たす)けする。」
「夜(よる)の島風(しまかぜ)がこの船(ふね)を押(お)し遣(や)る前(まえ)に、その嵐(あらし)に着(つ)きなきゃ。」
「そう言(い)えば、セオドア君。キミ(きみ)はまだ全員紹介(ぜんいんしょうかい)してないよね。」
ヨルダンがそう言ったら、青(あお)いシャーツの男(おとこ)は近(ちか)づいて、そして握手(あくしゅ)を供(そな)えて。彼(かれ)は僕(ぼく)よりチョット背(せ)が高(たか)い、手(て)の亘(わた)りだけくらい。少(すこ)しイジイジしているが、僕(ぼく)は彼(かれ)を返事(へんじ)する。彼(かれ)の握(にぎ)りはけっこ強(つよ)い。
「俺(おれ)はダサン、この船(ふね)の船長(せんちょう)。」
「セオドア・クエンティン。」
ダサンの手(て)が放(はな)す前(まえ)に、次(つぎ)の男(おとこ)は待(ま)っている。それを知(し)ると、すぐ手(て)を移動(いどう)する。次(つぎ)は半(はん)ズボンの男(おとこ)。
「ティムです。」
2秒(びょう)だけ彼(かれ)は僕(ぼく)の手(て)を放(はな)った、そして僕(ぼく)は次(つぎ)の男(おとこ)に移動(いどう)する。今度(こんど)はモリーと言(い)う男(おとこ)。
「知(し)ってるよね、オレはモリー。」
彼(かれ)の握(にぎ)りは強(つよ)すぎて、僕(ぼく)は最初(さいしょ)に手(て)を放(はな)った。彼(かれ)の顔(かお)から彼(かれ)はなんか満足(まんぞく)している。あの時(とき)の返(かえ)しか?まいい。次(つぎ)は炎色(えんしょく)縞(しま)シャーツの男(おとこ)。この中(なか)には、彼(かれ)は一番(いちばん)気(き)が安(やす)い格好(かっこう)している男(おとこ)。
「僕(ぼく)はアルヴィ。」
アルヴィの握(にぎ)りは最弱(さいじゃく)、弱(よわ)いでも彼(かれ)は最初(さいしょ)に放(はな)すなかった。最後(さいご)は一番(いちばん)若(わか)い男(おとこ)。僕(ぼく)は握手(あくしゅ)を供(そな)えてたら、彼(かれ)はハイタッチを供(そな)えた。気(き)まずいでも、僕(ぼく)はその手(て)を返事(へんじ)させた。
「僕(ぼく)はペピー。」
それで全部(ぜんぶ)になった。何(なに)も言(い)わずに皆(みな)に眺(なが)めている。こんな騒(さわ)がしい組(くみ)に会(あ)ったら、僕(ぼく)はなんか不安(ふあん)になった。
「実(じつ)は八人目(はちにんめ)の乗員(じょういん)がいた、だが彼(かれ)は前回(ぜんかい)の嵐(あらし)に亡(な)くなった。」
ヨルダンは下甲鈑(かこうはん)に指(さ)して、彼(かれ)はその八番(はちばん)の死体(したい)が休(やす)めている部屋(へや)に指(さ)しているだろう。その方向(ほうこう)なら、保健室(ほけんしつ)のとなりの部屋(へや)だろうな。
「彼(かれ)の名(な)はベンだった。波(なみ)が満(み)ちると日(ひ)が沈(しず)む前(まえ)にまだ四(よん)時間(じかん)がある。その前(まえ)に俺(おれ)らはその嵐(あらし)に着(つ)いてなきゃ。」
ダサンが言(い)った。
「そう、ダサンの言(い)うとおり。」
ティムが賛(たた)えた。
理由(りゆう)は大体(だいたい)分(わ)かった。真昼(まひる)から夜中(よなか)までは海風(かいふう)が吹(ふ)く。それを使(つか)ったら陸(おか)に到(いた)るのは楽(らく)になる、僕(ぼく)たちはただ波(なみ)を乗(の)ってるだけ。
「あぁ、時間(じかん)がないんだ。荷物(にもつ)が保(たも)ってらない。」
甲鈑(こうばん)にあった穴(あな)に指(さ)しながらペピーが言(い)った。
乗員(じょういん)全員(ぜんいん)がザワメキ始(はじ)めた。全員(ぜんいん)異見(いけん)なし。でも皆(みんな)、同(おな)じ顔(かお)をしている、心配(しんぱい)と遠慮(えんりょ)。彼(かれ)らの顔(かお)からには、皆(みな)は恐(おそ)れている、あの八人目(はちにんめ)みたいに終焉(しゅうえん)が怖(こわ)がってる。
「あの、済(す)まんが。」
左手(ひだりて)を上(あ)がってながら僕(ぼく)は交(まじ)わった、彼(かれ)らの気(き)を引(ひ)く。僕(ぼく)の意見(いけん)を知(し)らせる前(まえ)に、僕(ぼく)は彼(かれ)らのザワメキが止(や)むまで待(ま)った。
「僕(ぼく)は無関係(むかんけい)ですが、でもあなた達(たち)なんか友達(ともだち)にあった事(こと)に恐(おそ)れているかと思(おも)って。」
「...」
「僕(ぼく)はあの人(ひと)じゃないけど、彼(かれ)ほどガンバル。いいえ、彼(かれ)よりもっとガンバル。」
彼(かれ)らの虚ろ顔(かお)からには、僕(ぼく)は正(ただ)しいだったような。僕(ぼく)は彼(かれ)らにとって全(まった)く無関係(むかんけい)な人(ひと)。でも彼(かれ)らは僕(ぼく)を助(たす)かった、今度(こんど)は僕(ぼく)が彼(かれ)らを扶(たす)けないと。
「でもこうなら僕(ぼく)らはその嵐(あらし)に生(い)き抜(ぬ)かない。シッカリしなきゃ。僕(ぼく)はガンバル、あなた達(たち)もお願(ねが)いする。」
「良(い)い事(こと)言(い)ったな。そうだ。ソイツの言(い)う通(とお)り。俺(おれ)らはいつもベン(べん)のことを悼(いた)みついてるにはいかない。弔意(ちょうい)かと思(おも)った、でもこれはもう恐怖(きょうふ)だ。」
ダサン(ださん)が話(はな)すと、乗員(じょういん)の顔(かお)が明(あか)るくになった。
「良(い)い事(こと)言(い)った。」
彼(かれ)が甲鈑(こうばん)の扉入(とびらはい)る前(まえ)に、ヨルダンが笑(わら)ってそして言(い)った。
モリーもアルヴィもペピーも一人(ひとり)ひとりの持(も)ち場(ば)に戻(もど)る前(まえ)に僕(ぼく)の肩(かた)を扣(たた)いた。アルヴィとペピーは下甲鈑(したこうばん)へ行(い)った、モリーとティムは甲鈑(こうばん)に待(ま)ち受(う)けてる。それで僕(ぼく)はダサンと二人(ふたり)になった。
「ベンはモリーとティムに帆係(ほがかり)する。アイツらに手伝(てつだ)ってくれ。」
「あぁ、そうする。」
ダサンと僕(ぼく)は別(わか)れた。ダサンが甲鈑(こうばん)の扉(とびら)に向(む)かっているながら、僕(ぼく)はそして面舵(おもかじ)にあってティムに近(ちか)づいてる。
「おう。」
積乱雲(せきらんうん)の地平線(ちへいせん)に眺(なが)めているティムを挨拶(あいさつ)した。
「...」
また地平線(ちへいせん)に眺(なが)める前(まえ)に、彼(かれ)はチョットだけ僕(ぼく)に向(む)いた。彼(かれ)はなんかまだその嵐(あらし)に通(とお)り抜(ぬ)ける準備(じゅんび)をしている見(み)たい。
「ダサンがあなた達(たち)もに手伝(てつだ)ってくれって。僕(ぼく)はどうするの?」
「結(むす)び目(め)のつなぎ合(あ)わし方(かた)してるか?」
「あ— あぁ。」
っていうか、どうやって僕(ぼく)はそんなことをしっている?一昨日(おととい)の事(こと)が覚(おぼ)えてないのに、でもなんで結(むす)び目(め)のつなぎ合(あ)わし方知(かたし)っている?
「それなら大丈夫(だいじょうぶ)。」
少(すこ)し間(ま)を置(お)いたら、船(ふね)はよく進(すす)めた。そうながら潮(しお)の沫(あわ)が僕(ぼく)の顔(かお)に繁吹(はんふ)き。嵐(あらし)に近(ちか)づくほど、空(そら)はドンドン暗(くら)くなる、そしてそよ風(かぜ)も暴風(ぼうふう)になる。
「全員(ぜんいん)覚悟(かくご)出来(でき)たな!」
船橋(せんきょう)からダサンはさけんだ。
「ほらっ!綱(つな)を取(と)っていけ!」
モリーが帆檣(はんしょう)に登(のぼ)り始(はじ)めた見(み)るとティムは僕(ぼく)に叫(さけ)んだ。
檣(ほばしら)の下(した)にあったニ(に)本(ほん)の綱(つな)を拾(ひろ)って、そしてその一本(いっぽん)はティムに投(な)げた。その綱(つな)を貰(もら)ったあと、彼(かれ)は何(なに)かを僕(ぼく)に投(な)げた。それを両手(りょうて)で不器用(ぶきよう)に受(う)けた取(と)った。手(て)に見(み)ると、アレはフォールディングナイフだと見(み)つけた。まぁ、綱(つな)に結(むす)びすると、ナイフ持(も)ってるのは自然(しぜん)だし。
「モリーが帆(ほ)を下(おろ)したらすぐ巻(ま)いて!」
彼(かれ)の命(いのち)に僕(ぼく)は頷(うなず)いた、そしてモリーが帆(ほ)を下(お)ろすを待(ま)って、そのフォールディングナイフをポコッとに入(い)れた。彼(かれ)に見上(みあ)げたら、雨粒(あまつぶ)は降(ふ)り始(はじ)まった。
「一週間(いっしゅうかん)で嵐(あらし)が二回(にかい)なんて、オレ付(つ)いてねな。」
ティムはため息(いき)して、戯評(ぎひょう)をした。僕(ぼく)はただそれに返事(へんじ)を苦笑(くしょう)した。
「出来(でき)たぞ!」
帆檣(はんしょう)の上(うえ)からモリーが叫(さけ)んだ、そして僕達(ぼくたち)に帆(ほ)を落(お)とす。ティム(てぃむ)はその帆(ほ)が甲鈑(こうばん)に着(つ)く前(まえ)にそれを捕(つか)まえた、そして帆(ほ)を巻(ま)いて始(はじ)めた。
「何(なに)をボーッとしてるの?サッサと巻(ま)いて!」
ノロノロの僕(ぼく)にティムは叱(しか)った。彼(かれ)は帆(ほ)を随分巻(ずいぶんま)いた。僕(ぼく)は追(お)い付(つ)けないと。それで僕(ぼく)は巻(ま)いて始(はじ)めた。巻(ま)きが平(ひら)らったら、ティムはすぐ巻(ま)い続(つづ)ける。かれは追(お)い付(つ)かないほど巻(ま)くが早(はや)い。
その速(はや)さなら、7M(メートル)の帆(ほ)を巻(ま)くは長(なが)くない。ティムはそして甲鈑(こうばん)の柵(さく)を乗(の)って、その帆(ほ)を棡(おう)に置(お)い。彼(かれ)は僕(ぼく)に向(む)いて、そして帆柱(ほばしら)に指(さ)す、僕(ぼく)に「帆(ほ)を置(お)い締(し)めるに扶(ふ)け」って言(い)ったように。
その間(かん)に、モリ(もり)ーは帆柱(ほばしら)から下(お)ろした、僕(ぼく)らに扶(ふ)けていく。この中(なか)には、僕(ぼく)は「何(なに)をするか」が分(わ)からない、一番(いちばん)鈍(にぶ)い。
「そこに登(のぼ)って、帆(ほ)を締(し)めろ!」
モリ(もり)ーは僕(ぼく)が棡(こう)に登(のぼ)るって命(めい)じた。何(なに)も言(い)わずに、そうする。ティムは待(ま)っている間(あいだ)に、彼(かれ)は帆(ほ)の巻(ま)きを取(と)って。
モリーは僕(ぼく)の方(ほう)に帆(ほ)を捧(ささ)げて、そして僕(ぼく)がその帆(ほ)を縛(しば)り上(あ)げてを待(ま)って。この雨(あめ)はもう豪雨(ごうう)になった。何分(なにぶん)だけで僕(ぼく)らはビショビショ濡(ぬ)れている。モリーの長髪(ちょうはつ)のせいで、彼(かれ)は髪(かみ)を何度(なんど)も繕(つくろ)ってた。僕(ぼく)の髪(かみ)はそんなに長(なが)くないから、そうはいらない。
結節(けっせつ)を結(むす)ぶ前(まえ)にその帆巻(ほま)きは十回(じゅっかい)くらい縛(しば)った。その後僕(ごぼく)はモリーにサインをする、それを見(み)ると、彼(かれ)はティムの所(ところ)に移動(いどう)する。これを見(み)ると、確(たし)かにモリーは僕(ぼく)より強(つよ)い。この前帆巻(まえほま)きを捧(ささ)げ見(み)たら、僕(ぼく)は出来(でき)なかった。
「ティムさん、僕(ぼく)は手伝(てつだ)おうか?」
難(なん)しているティムに僕(ぼく)は叫(さけ)んだ。
「いいえ、そっちにして!」
強風(きょうふう)と船(ふね)のユラリがティムを揺(ゆ)るがす。引(いん)っ掛(か)けるだけではセイッパイなのに、でも彼(かれ)は頑張(がんば)り続(つづ)ける。そんなでも、彼(かれ)は僕(ぼく)の手(て)を断(ことわ)った。
「アッ!」
「何(なに)があった?」
痛(いた)いそうな叫(さけ)くが聞(き)こえた。ティムを見(み)ると、彼(かれ)は左手(ひだりて)の親指(おやゆび)と人差(ひとさ)し指(ゆび)の間(あいだ)にを吸(す)いてる。彼(かれ)は手(て)を切(き)ってしまった見(み)たい。
「大丈夫(だいじょうぶ)か?」
モリーが聞(き)かせた。
「ナイフ落(お)とした!」
そうだった。彼(かれ)は手(て)を切(き)ったとナイフが落(お)とした。でも彼(かれ)はまだ帆(ほ)を縛(しば)ってない。僕(ぼく)は縛(しば)るのも早(はや)めてる。
「ちょっと待(ま)って!すぐ終(お)わるから!」
彼(かれ)らはシッカリしている見(み)たいけど、でも彼(かれ)らは早(はや)くと欲(ほ)しいだろう。
「よし!出来(でき)た!」
帆柱(ほばしら)から飛(と)び降(お)りて、そしてティムとモリーのもとに行(い)く。でも甲鈑(こうばん)に着(つ)くと、船(ふね)は潮流(ちょうりゅう)にぶつかった。そのショックは僕(ぼく)とモリーとティムを投(な)げ飛(と)ばした。僕(ぼく)は立(た)ち上(あ)がるながら、モリーもティムを立(た)ち上(あ)がらいてる。
そのナイフを彼(かれ)に渡(わた)す、だがティムは首(くび)を振(ふ)った。彼(かれ)が吸(す)いてる手(て)からには血(ち)が流(なが)れてる。その傷(きず)ふかそうな。
「オレ機関室(エンジン・ルーム)に向(む)かってくる、ここには役立(やくだ)たないし。代(が)わりにアルヴィやペピーを頼(たの)むする。」
「いい、ティムさんはそこでいい。」
僕(ぼく)とモリーは彼(かれ)の用事(ようじ)を片付(かたづ)けなきゃ。アルヴィとペピーは甲鈑係(こうばんかかり)にならない。それだからティムの提案(ていあん)を断(ことわ)った。
「あぁ、お前(まえ)はアイツらを扶(ふ)け。」
モリーが賛成(さんせい)した。
それに、アレはいらなかった。ティムが下甲鈑(かこうばん)に入(はい)った直ぐで、僕(ぼく)は帆(ほ)を縛(しば)った。その結(むす)び目(め)は堅(かた)くないか確(たし)かめて、少(すこ)し揺(ゆ)られた。
「出来(でき)たか?」
モリーが聞(き)いた。
「あぁ。」
「じゃ、ここには終(お)わったな。船橋(せんきょう)でまってよう。」
僕(ぼく)がナイフをポケットに入(い)れたら、少(すこ)し空(そら)に眺(なが)めていて。この景色(けしき)、なんか覚(おぼ)えてるな。僕(ぼく)が何(なに)も出来(でき)ずにただこう見(み)たいの空(そら)を眺(なが)めてた、現実(げんじつ)を見(み)わからない時(とき)と同(おな)じ。
「何(なに)してるの?」
モリーが船橋(ふなばし)の扉(とびら)から僕(ぼく)に叫(さけ)んだ。声(こえ)が大(おお)きでも、嵐(あらし)の声(こえ)があったらよく聞(き)こえなかった。でも少(すこ)しだけ、彼(かれ)の声(こえ)が聞(き)こえた。
「あぁ、今行(いまい)く。」
「危(あぶ)ない!」
下甲鈑(かこうばん)から急(きゅう)に悲鳴(ひめい)が聞(き)こえた。ティムの声(こえ)ではなく、アレはペピーの声(こえ)だった。
「どうした?」
ペピーが慌(あわ)ててる走(はし)っているを見(み)ると僕(ぼく)は聞(き)いた。
「機関(きかん)がオーバーヒートしている!」
「何(なん)だと?」
「エンジンがオーバーヒートしているって!」
「どうすればいいの?」
「冷(ひ)やさなきゃ!水(みず)を撥(は)ねてみて!」
「分(わ)かった!ダサンに伝(つた)えて来(く)る!」
ペピーと別(わか)れた。僕(ぼく)はすぐ船橋(ふなばし)の扉(とびら)へ向(む)かって。
「ダサン!エンジンがオーバーヒートしている!」
その部屋(へや)の開(あ)けた扉(とびら)からに叫(さけ)んでた、声(こえ)が大(おお)きかった気(き)がしたし。
「クソッ!消(け)す!消(け)すんだ!冷(ひ)やせてくれ!」
そうに決(き)まってる。それを聞(き)くとすぐ、ピシっとドア(どあ)を閉(し)めて、そして下甲鈑(したこうばん)の機関室(きかんしつ)へ行(い)った。でも下甲鈑に入(はい)る前(まえ)に、アルヴィと出会(であ)った。彼(かれ)とブツカリ惜(お)しいかった。彼(かれ)が持(も)っているは四丁(よんちょう)の桶(おけ)。
「この桶(おけ)に注(そそ)げてくれ!」
「おぅ、後(あと)ダサンがエンジンを消(け)すって。」
「分(わ)かった!」
彼(かれ)はその四丁(よんちょう)の桶(おけ)を僕(ぼく)に渡(わた)した、それですぐ雨水(あまみず)を詰(つ)める。詰(つ)めるには長(なが)くない、桶(おけ)が四半分(しはんぶん)詰(つ)めていると、他(た)の三丁(さんちょう)の桶(おけ)はもう一(ひと)つに詰(つ)み込(こ)んでる。そしてその一杯(いっぱい)のおけを機関室(きかんしつ)へ持(も)ち上(あ)げていた。
「水(みず)だ!」
「エンジンに潑(も)れ!」
何(なに)も言(い)わずに、アルヴィの手順(てじゅん)を従(したが)える。一息(ひといき)で桶(おけ)の中身(なかみ)をエンジンに被(かぶ)る。水蒸気(すいじょうき)がボヤボヤに散(ち)らせて、それじゃエンジンはまだ焼(や)いてる。
「水(みず)を持(も)って来(く)る!」
止(と)まらせずに上甲鈑(じょうこうばん)に走(はし)った。桶(おけ)は全部(ぜんぶ)溢(あふ)れている。この空(から)っぽの桶(おけ)は置(お)いて、そして二杯(にはい)の桶(おけ)を持(も)ち上(あ)げていた。
「津波(つなみ)だ!」
「ハァ?」
誰(だれ)かが船橋(ふなばし)から叫(さけ)んでいた、雨粒(あまつぶ)が顔(かお)に痛(いた)いが、でも見上(みあ)げると、ヨルダン(よるだん)が船橋(ふなばし)から覗(のぞ)けている。
「取(と)り舵(かじ)から津波(つなみ)が来(く)る!エンジンを点(つ)けろっ!」
「まだ焼(や)いている!」
「舵(かじ)を切(き)れないと撃沈(げきちん)しまう!」
また下甲鈑(したこうばん)に走(はし)った、今度(こんど)は二杯(にはい)の桶(おけ)を持(も)っている。この廊下(ろうか)の果(は)てに着(つ)くと、僕(ぼく)は保健室(ほけんしつ)の向(むか)いにあった機関室(きかんしつ)を入(はい)った。
「エンジンを点(つ)けろ!」
機関室入(きかんしつはい)った途端(とたん)、僕(ぼく)は叫(さけ)んだ。ティムもアルヴィもペピーは僕(ぼく)を不服(ふふく)に睨(にら)んでいる。彼(かれ)らが僕(ぼく)をまだ睨(にら)めているながら、僕(ぼく)は桶(おけ)を被(かぶ)されている。
「何(なに)を言(い)ったお前(まえ)?エンジンはまだ焼(や)いているだろう。」
アルヴィが返事(へんじ)をくれた、そうながら彼(かれ)は平手(ひらて)でエンジンに指(さ)している。
「分(わ)かってる。でも津波(つなみ)がくるそう。舵(かじ)を切(き)れなきゃ。」
「エンジン爆発(ばくはつ)しまうぞ!」
「僕(ぼく)らが渡(わた)り合(あ)える中(なか)、その津波(つなみ)は止(と)まらずに近(ちか)づいてるだろうが。エンジンを点(つ)けるしかいないだ!」
空(から)っぽの桶(おけ)を置(お)いた、そして次(つぎ)の桶(おけ)を被(かぶ)る前(まえ)に僕(ぼく)は返事(へんじ)をした。
「クソ。エンジンを点(つ)けろ。」
アルヴィは諦(あきら)めた、エンジンがまだ焼(や)いても彼(かれ)はティムとペピーにエンジンを付(つ)けるって命(めい)じた。僕(ぼく)は桶(おけ)を被(かぶ)れている中(なか)、彼(かれ)らはまだエンジンをつけている。ペピーは発電機(はつでんき)に索条(さくじょう)を包(つつ)む、そして発電機(はつでんき)を点(つ)けるにその索条(さくじょう)を何度(なんど)も引っ張(ぱ)った、僕(ぼく)が桶(おけ)を被(かぶ)った後(あと)、その発電機(はつでんき)はやっと点(つ)けた。
「僕(ぼく)は水(みず)を持(も)ってくる、そしてダサンに言(い)われてくる!」
桶(おけ)を拾(ひろ)って、そして上甲鈑(じょうこうばん)に走(はし)り抜(ぬ)けた。甲鈑(こうばん)に着(つ)くと僕(ぼく)が持(も)っている桶(おけ)を取(と)り返(かえ)して、その後僕(ごぼく)は船橋(ふなばし)に見上(みあ)げてる。
「エンジンは点(つ)けた!」
「もうダメだ!何(なに)かに捕(つか)まえろ!」
ヨルダンは注意(ちゅうい)した。目(め)の済(すみ)から見(み)かけた。取(と)り舵(かじ)から、最初(さいしょ)は空(そら)かと思(おも)った、10M(メートル)くらいの津波(つなみ)は立(た)ち伸(の)びている。僕(ぼく)は怯(おび)えてて、桶(おけ)まで落(お)としちゃた。
逃(に)げるもないか。
正気(しょうき)になったら僕(ぼく)はすぐ取(と)り舵甲鈑(かじこうばん)の柵(さく)に走(はし)ってそして捕(つか)まえた。機関室(きかんしつ)の連中(れんちゅう)も言(い)われたかった、でも時間(じかん)がない。でもなぜか、僕(ぼく)は柵(さく)に捕(つか)まっている時(とき)、僕(ぼく)はまた鼻血(はなぢ)が出(で)るそう。なんてタイミングだ。
「じゃ———君(きみ)、海(うみ)を見(み)に行(い)くは約束(やくそく)ね。」
「何(なに)?」
誰(だれ)かの囁(ささや)きが聞(き)こえた。どうして?誰(だれ)かがここで叫(さけ)んでも、ギリギリに聞(き)こえてるのに。だがこの囁(ささや)きはハッキリ(はっきり)聞(き)こえた。
その癒(いや)し系(けい)な声(こえ)は知(し)っている。アレは夢(ゆめ)に会(あ)った白(しろ)い影(かげ)の声(こえ)だった。僕今夢(ぼくいまゆめ)していないよね?それを確(たし)かめて、僕(ぼく)は親指(おやゆび)を噛(か)む。痛(いた)い。夢(ゆめ)じゃない。じゃ何(なん)でその声(こえ)を聞(き)こえてるの?
津波(つなみ)が落(お)ちたら、その水勢(すいせい)は船(ふね)に45度(ど)傾(かたむ)けている。流(なが)れていて、この船(ふね)はもっと傾(かたむ)けていく。ちょっとだけ傾(かたむ)けると、この船(ふね)は転(ころ)がりする。
今(いま)は、頭(あたま)に鋭(するど)い頭痛(ずつう)している、鼻血(はなぢ)も止(と)まらない。痛(いた)みを抑(おさ)えてに目(め)を閉(と)じて浜(はま)で摩(ま)せて、目(め)に右手(みぎて)で押(お)した。でもどうしてもこの頭痛(ずつう)は鋭(するど)すぎて堪(たん)まらないた。
「...」
しばらく目(め)を閉(と)じると、不思議(ふしぎ)な物(もの)があった。雨(あめ)の音(おと)は急(きゅう)に止(と)まった、その代(か)わりに穏(おだ)やかな波(なみ)の音(おと)になった。ソット目(め)を開(あ)けると、頭痛(ずつう)の痛(いた)みは消(け)してゆく。目(め)が適応(てきおう)しているうちに、僕(ぼく)を見(み)ることはありえない風景(ふうけい)だった。
何(なん)の千(せん)の、いや、何(なん)の百億の雨粒が目の前に浮かんでいる。空はまだ暗いでも、嵐が消えた。
「何があっ——」
ティムとアルヴィとペピーは驚(おどろ)いた顔(かお)で下甲鈑(かこうばん)から出(だ)していた。僕(ぼく)はそっと立(た)ち上(あ)がってこの状況(じょうきょう)を理解(りかい)して見(み)た。ヨルダンとモリーとダサンもそんな顔(かお)をしている。
一(ひと)つの雨粒(あまつぶ)を触(さわ)ると、その雨粒(あまつぶ)はゲル(げる)見(み)たいに広(ひろ)がってく。指(ゆび)が下(さ)がっても、その雨粒(あまつぶ)は元(もと)の形(かたち)に戻(もど)らない。甲鈑(こうばん)にあった男(おとこ)たちもそうやって見(み)たら、結果(けっか)は同(おな)じ。
最初(さいしょ)にこの幻想的(げんそうてき)な現象(げんしょう)から戻(もど)ったはダサン。海(うみ)が冷静(れいせい)しているうちに、彼(かれ)はすぐ船(ふね)を動(うご)かせる。このままで、僕(ぼく)らはこの嵐(あらし)を生き抜(ぬ)けた。その後(ご)も、何(なに)があったか僕(ぼく)らはまだ分(わ)からないまま。
乗員(じょういん)全員(ぜんいん)は合理的(ごうりてき)な説明(せつめい)を話(はな)してみた。でもペピーの超自然(ちょうしぜん)な話以上(はなしいじょう)には、皆(みな)は毛唐(もうとう)が付(つ)かなかった。でも僕(ぼく)はなんか、それは自分(じぶん)のせいかもしれないとか思(おも)った。
何時間(なんじかん)の後(あと)、僕(ぼく)が夜(よる)の穏(おだ)やかな地平線(ちへいせん)に眺(なが)めている時(とき)、ヨルダンは僕(ぼく)に会(あ)った。彼(かれ)は僕(ぼく)に気(き)に入(い)ったココアをくれた。
「今日(きょう)はどう思(おも)う?」
彼(かれ)がそう聞(き)いたら、目(め)が怪(あや)しく見(み)えた。彼(かれ)は僕(ぼく)が何(なに)かをしたかと思(おも)うだろう。
「僕(ぼく)も分(わ)からない。」
彼(かれ)は何(なに)を思(おも)ってるかは分(わ)からないけど、でも彼(かれ)はぼくに信(しん)じているみたい。
「それよりさ、ありがとう。」
「なにを?僕(ぼく)は何(なに)もしてなかったよ。」
彼(かれ)はまた沈黙(ちんもく)した、答(こた)えを考(かんが)えてた。
「一(ひと)つ言(い)いたい事(こと)がある。」
「何(なん)だ?」
「私(わたし)がソイツらがキミをモンバサに向(む)かって来(く)るって言(い)った時(とき)覚(おぼ)えるな?」
「そうですが。」
「私(わたし)は嘘(うそ)をついた、ソイツらはキミに向(む)かって来(こ)れない。」
「いいよ、僕(ぼく)はインドに何(なん)とかする。」
「そうじゃない。」
「ん?」
「私(わたし)は言(い)うのは、ソイツらはキミを向(む)かって来(く)る為(ため)に待(ま)ってるではなく。」
「ヨルダンさん、何(なに)言(い)ってるの?」
「昨日(きのう)我(われ)らがキミの事(こと)を報告(ほうこく)すると、我(われ)らは知(し)ったんだ。キミは飛行機(ひこうき)事故(じこ)の被害者(ひがいしゃ)じゃなくて、キミは飛行機(ひこうき)事故(じこ)の加害者(かがいしゃ)だって。」
「えっ?」
「キミが探(さが)されている理由(りゆう)は、キミはグレヤ・アインホーンの私立(しりつ)企業(きぎょう)のヘリコプターを墜落(ついらく)しただって言(い)った。」
彼(かれ)が言(い)ったことは僕(ぼく)にショックを当(あ)たった。感情(かんじょう)が複雑(ふくざつ)になった。思考(しこう)はその情報(じょうほう)を捌(さば)いてるに忙(いそが)しくて、自分(じぶん)の目(め)も膨(ふく)らめた、全(すべ)ての周(まわ)りに聞(き)こえなくなる。
「いま、何(なん)と言(い)った?」
またあの名(な)だ。自分(じぶん)が何度(なんど)も聞(き)いてた名前(なまえ)だった。その名(な)は重要(じゅうよう)だって分(わ)かる、でも何(なに)だって?僕(ぼく)は飛行機(ひこうき)を墜落(ついらく)した?僕(ぼく)に何(なに)があったんだ?記憶(きおく)を失(うしな)って、何度(なんど)も夢想(むそう)を見(み)た、自分(じぶん)の本名(ほんみょう)まで知(し)らないのに、そしてこの前(まえ)に在(あ)った事(こと)は...
僕(ぼく)は一体(いったい)何(なに)者(もの)なんだ?
fsc
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