オール・ブラック - α - 脳//Nous (後編)

どれだけ(とき)()ぎたかは全然(ぜんぜん)(たし)かめない。(いま)(ぼく)思考(しこう)(まった)(やす)めている、こんなに(ゆめ)のない(ねむ)りなのに、(ぼく)(やす)らかく(やす)めない。この孤独(こどく)時間(じかん)落下(らっか)感覚(かんかく)(やぶ)れてた。(からだ)(きゅう)(たか)(ところ)から()ちるような、(おも)(かん)じる。でもその落下(らっか)(かん)じなかった、ただその(あと)のショックは(ぼく)(おどろ)かした、そして(ぼく)()こした。
「あっ!」
七人(しちにん)(あらが)った、その(おな)部屋(へや)()()ました。(いき)(はず)ませているでも、(ぼく)(やす)目覚(めざ)ました、今度(こんど)(まわ)りを確認(かくにん)するや自分(じぶん)(まも)反応(はんのう)必要(ひつよう)がない。この(しず)けさは状況(じょうきょう)判断(はんだん)するチャンスをくれた。
(いま)(ぼく)(ちい)さい(ふね)保健室(ほけんしつ)にいる。前回(ぜんかい)(ちが)う、今度(こんど)寝台(しんだい)からユックリ()りて、そしてドレープの()こうの廊下(ろうか)()つけた。この保健室(ほけんしつ)はこの廊下(ろうか)()てにある、ここから()(さき)はたった一方(いっぽう)しかいない。
この(ふね)のゆらりのせいで、(かべ)()()ける。この廊下(ろうか)(かべ)(ゆか)鉄製(てつせい)から、()裸足(はだし)(さむ)くになった。
(ある)くながら、(ぼく)視界(しかい)(ゆが)みている白衣(はくい)()黄色(きいろ)幽霊(ゆうれい)たちが(あらわ)れた。その(かげ)存在(そんざい)(なに)かの雰囲気(ふんいき)(おと)()()こさせる、ベラベラの(こえ)をしている。その(かげ)(あらわ)れた(あと)、また鼻下(びか)(うるお)って()がする。その(へん)()ると、(たし)かに鼻穴(びけつ)から(なに)かの(えき)(したた)る。()()ると、(ゆび)()()れている。自分(じぶん)様子(ようす)心配(しんぱい)が、でも()()がったとたん、もう黄色(きいろ)(かげ)とその(こえ)()えてしまった。
廊下(ろうか)()てにあった戸口(とぐち)に、(ひかり)()()さっている。その(まぶ)しい(ひかり)(ちか)づくながら、()(ふさ)いでる。この()てにある(ちい)さい階段(かいだん)(のぼ)る、上甲板(じょうこうばん)()いた。上甲鈑(じょうこうばん)には(すこ)しずつ(まぶ)しさに()れている。(ぼく)はなんか「これは(ひさ)しぶりの陽光(ようこう)青空(あおぞら)」って(しん)じた。()適応(てきおう)しているほど、この(ふね)漁船(ぎょせん)だと()づいた。
上甲鈑(じょうこうはん)には四人(よんにん)がオロチョロしている。一番目(いちばんめ)()(かじ)(すわ)っている、(かれ)保健室(ほけんしつ)(たお)した(つよ)いそうな(おとこ)だった。二番目(にばんめ)(おな)じく()(かじ)()っている、ただ一番目(いちばんめ)からチョット(とお)くだけ、(かれ)一番目(いちばんめ)(おとこ)(くら)べにチョット(ひく)い、(かれ)のならでは(かれ)(かぶ)(あか)(つば)(くろ)帽子(ぼうし)(つぎ)面舵(おもかじ)四番目(よんばんめ)(おとこ)(はな)している。三番目(さんばんめ)(はん)ズボンを()る、そして最後(さいご)炎色(えんしょく)(しま)(しろ)いシャーツを()る。帽子(ぼうし)(おとこ)(はん)ズボンの(おとこ)(ぼく)存在(そんざい)()づいた、(かれ)らはその()二人(ふたり)()らせて、そして(はん)ズボンの(おとこ)下甲鈑(かこうはん)への戸口(とぐち)のとなりにあった(とびら)(はい)った。
「ねっ、お(まえ)大丈夫(だいじょうぶ)か?」
(ぼく)(たお)した(おとこ)近寄(ちかよ)って、握手(あくしゅ)(そな)えて。(うたが)いてる(かれ)()()つめて、そしてシブシブに返事(へんじ)する。(かれ)以外(いがい)()(やす)い、前回(ぜんかい)(ちが)って、でもそれは(ぼく)のせいだろう。
「オレはモリー、お(まえ)ドクターに(はな)せば?」
「ドクター?」
自然(しぜん)に、最初(さいしょ)()かんでたはアインホーンの名前(なまえ)、でもそう簡単(かんたん)にはないはず。それでも(ぼく)にあった(こと)(ぼく)とアインホーンを(わか)れたんだろう。
「あぁ、ティムが()んで()った。」
(かれ)()()らした、そしてさっきの(はん)ズボン(おとこ)(はい)った(とびら)()した。
「キタキタ。」
(かれ)()した(とびら)から二人(ふたり)(おとこ)()ると()ると、(かれ)(もと)(もど)った。その二人(ふたり)(はん)ズボン(おとこ)と、(おも)()たったら、気絶(きぜつ)(まえ)最後(さいご)()(おとこ)だった。
「ドクター?」
「そう。(わたし)はヨルダン。キミはもう元気(げんき)かね?」
(かれ)正体(しょうたい)確認(かくにん)(ぼく)にガッカリをした。チョットだけモリーが()せた「ドクター」は「アインホーン」って()しかった。だがヨルダン(よるだん)がその(とびら)から()たとたん、(かれ)とアインホーンの(かげ)格好(かっこう)(こえ)(ちが)うって(ぼく)(みと)(はじ)まった。
「まぁ。(ぼく)(なに)があった()ってますか?」
「それは()えないねぇ。」
また(なに)()らない一般人(いっぱんじん)だ。
正直(しょうじき)(われ)らもキミがそれを説明(せつめい)(もら)うかと(おも)った。」
ヨルダンは平手(ひらて)下甲鈑(したこうばん)()す、そして保健室(ほけんしつ)(ぼく)(みちび)く。
「で、(ぼく)(なに)があったでしょうか?」
(われ)らも検討(けんとう)()けない。キミは最後(さいご)(おぼ)える(こと)(なん)だ?」
「えっと、(ぼく)(うみ)()かんでいる。(よる)で...」
「イヤイヤ、キミ自身(じしん)のことは?」
「...」
また自分(じぶん)(こと)(おも)()()る。でも自分(じぶん)思考(しこう)記憶(きおく)(かく)しが上手(うま)くすぎて、一斑(いっぱん)でもなく、(なに)(おも)()せない。まるで(ぼく)昨日(きのう)()まれたバッカリ。
(わる)い、(なに)(おぼ)えてない。」
「そうか。」
(かれ)一言(ひとこと)をした。(かれ)(こえ)(いつくし)むく()こえた。
このお(しゃべ)りが()わるとき、(ぼく)らは保健室(ほけんしつ)()いた。ヨルダンはドレープの戸口(とぐち)()けそして(はい)った。(ぼく)(かれ)(うし)ろに()けてそして()まった、(かれ)(はなし)()つ。
()って、どれだけ無意識(むいしき)した?」
「14時間(じかん)くらいかもね、その(まえ)キミ(きみ)は5時間(じかん)くらい無意識(むいしき)した。」
(ぼく)()きるそして仲間(なかま)(あらが)って(まえ)にでしょうか?」
「アハハ、そうだよ。」
(かれ)(つつし)むく(わら)った。
「モリーってこの(ふね)一番(いちばん)(つよ)い、でもキミはソイツを(たお)した。」
「えっ、本当(ほんとう)に?」
「キミは四人(よんにん)抑制(よくせい)から(やぶ)れた。」
(いま)(ちが)うだろうな。
「どうしてそれがやったのか()からない。(いま)(ぼく)はあの椅子(いす)(うご)かせるとは(おも)えない。」
多分(たぶん)アレはアドレナリン急増(きゅうぞう)かも。」
そうかも()れない、あの(とき)(ぼく)はすごく凶暴(きょうぼう)だったし。
「キミが()つかったら()、キミはこれを()るんだ。」
ヨルダンは(かべ)(かがみ)(となり)にあったコートを()る、そして(ぼく)(わた)した。このコートはトッテモ(あつ)い、そのフードに(かわ)(かざ)った。なんか(ふゆ)上着(うわぎ)()たい。すぐそのコートのポケットの中身(なかみ)手掛(てが)かりを(さが)して。そのサイドポコッと、そして(ふところ)、だが(なに)()つからない。(ひと)()になるのは(ひだり)(ふところ)(うえ)()けたネームタグ。
「セオドア・クエンティン」
「キミの()のか?」
ヨルダンは(ぼく)がネームタグに集中(しゅうちゅう)してるを()づいた。(いま)(ぼく)(のう)はこの()侵略的(しんりゃくてき)照合(しょうごう)をしている。(あたま)(いた)むほど自分(じぶん)(おも)い出しを(つと)めている。その(いた)みを(おさ)えて、(ゆび)左目(ひだりめ)(あっ)す、だがこんなに(いた)いのに、(ぼく)(なに)(おも)()せない。
「やはり(なに)(おぼ)えてない。」
無理(むり)しなくてもいい。」
もし(ぼく)(きゅう)(たお)れる場合(ばあい)、ヨルダンは(ぼく)寝台(しんだい)(すわ)らせていて。こうは()()らないが、でも仕様(しよう)()い。
(なに)(わる)いんだ?(なん)(ぼく)(なに)(おぼ)えてない?」
「...」
ヨルダンは(ぼく)(にら)めている、(かれ)()好奇心(こうきしん)藪睨(やぶにら)みしている、(かれ)(おな)質問(しつもん)()いているとは()かる。
(わたし)見立(みた)ては、キミは(ひど)記憶喪失(きおくそうしつ)している、キミの長期記憶(ちょうききおく)(わずら)わった。神経科医(しんけいかい)はないから、(わたし)(くわ)しく()えない。」
「ウッ―」
(あたま)(いた)みを(おさ)えるため、(ゆび)をもっと(かた)めく左目(ひだりめ)()す。この(いた)みのともには、(ぼく)視界(しかい)(いが)みている幽霊(ゆうれい)(あらわ)れて。でもさっきと(ちが)う、今度(こんど)はイロイロの(いろ)幽霊(ゆうれい)たちが(あらわ)れた。クスクス(わら)っているながらアッチコッチにこの部屋(へや)(あそ)んでいる。
「どうした?」
(ぼく)(きゅう)(かれ)(かた)から()(はな)したそして自分(じぶん)(かお)()してると、ヨルダンは(さけ)んだ。(かれ)(ぼく)(おさ)えて、そして寝台(しんだい)(ぼく)(ねむ)らせて。
「ヨルダン、アレを()るか?」
(ぼく)()えた幽霊(ゆうれい)たちに()しているながら、(ぼく)()かせた。
(なに)が?」
(かれ)()えないな、その幽霊(ゆうれい)たちは(ぼく)しか()えない。
「いいえ、(なん)でもない。」
その幽霊(ゆうれい)たちは一人一人(ひとりひとり)()えてしまう、一人(ひとり)()えて(たび)に、(あたま)(らく)になる。
正体(しょうたい)()がかりがいなかったら、じゃ(ぼく)セオドア・クエンティンで()んでもいい。」
「...」
(かれ)沈黙(ちんもく)した、(ぼく)(にら)めていて。今度(こんど)(かれ)()から審査(しんさ)(かん)じた。
昨夜(ゆうべ)(われ)らはキミの(こと)調(しら)べて()たんだ、キミは飛行機(ひこうき)事故(じこ)(さが)されている。」
飛行機(ひこうき)事故(じこ)?」
「キミは私立(しりつ)企業(きぎょう)護衛(ごえい)していた()たい、そして事故(じこ)があった、キミの記憶喪失(きおくそうしつ)はその(せい)かも。」
「そうか。で、(ぼく)護衛(ごえい)された飛行機(ひこうき)()(さき)は?」
「インド。」
「じゃ、(ぼく)()くべき場所(ばしょ)はそれな。」
明後日(あさって)(われ)らはモンバサに上陸(じょうりく)する。ソイツらはモンバサの(みなと)にキミを()かってくると(そろ)えた。」
「ありがとう。」
()にしない。」
「ね、(ぼく)あなた(たち)(なに)かを手伝(てつだ)えないかな?」
その朗報(ろうほう)(もら)ったは(うれ)しい。ヨルダン(よるだん)さんとの仲間(なかま)がいなかったら、(ぼく)(うみ)()わったんだろう。せめてお(れい)にこうくらいならやる。
「いいよ、キミは(やす)め。」
「そうはいけない。」
なんか息気(いきき)()えてる()がする。自分(じぶん)保健室(ほけんしつ)から上甲板(じょうこうはん)()す、(なに)かのやれる(こと)(さが)す。それに前回(ぜんかい)頭痛(ずつう)からには、(いま)(ぼく)(ちから)()つ。(いま)頭痛(ずつう)はただこの(ふね)のゆらりからだけ。
「キミは(やす)(かた)がいい。キミはまだスッカリ検査(けんさ)してないから。」
「いいえ、(いま)大丈夫(だいじょうぶ)。それに(ぼく)出来(でき)事見(ことみ)たんだろう?仲間(なかま)全員(ぜんいん)(たお)した。」
廊下(ろうか)早歩(はやある)きする、また陽光(ようこう)(くら)みついた。(なに)かをやりたいのは保健室(ほけんしつ)から見えない陽光(ようこう)青空(あおぞら)をもっと()たいから。
上甲鈑(じょうこうばん)()くと、一人(ひとり)乗員(じょういん)がいなくなった、ここは三人(みひと)だけしかいない。(つよ)いそうのおとこと(はん)ズボンのおとこと炎色(えんしょく)(しま)シャーツのおとこだった。
本当(ほんとう)か?」
「あぁ、もう随分(ずいぶん)(なお)った。」
(はん)ズボンの(おとこ)(ぼく)らを()づいた、(かれ)からには(ぼく)たちは喧嘩(けんか)している()たいだろう。
「よヨルダンさん、どうした?」
「おう、ティム。キミらまだ紹介(しょうかい)してないよね?」
「あぁ、まだ。」
「じゃセオドア(くん)、こっちはティム。それでティム、こっちはセオドア。」
ヨルダンは(ぼく)とティムを紹介(しょうかい)する。この(ひと)昨夜(さくや)(あらが)いからに(おぼ)えてる。
「どうも、あの(とき)()まなかった。」
大丈夫(だいじょうぶ)。それよりさ、モリーよりお(まえ)のほうは非常(ひじょう)につよいな。四人(よんにん)まで(やぶ)れたし。」
ヨルダンは(くび)()って、ティムと内談(ないだん)(まね)いた。(ぼく)はその(しょう)()かって、(すこ)しだけ()がった。
この距離(きょり)からは、ヨルダンが(なに)かを(ささや)いてく(はな)しているみたい。ティムは賛成(さんせい)そうはしてない。(ささや)いてく、(かれ)らは(あらそ)ってるみたい。
(ようや)(かれ)らは賛成(さんせい)()いた。(はなし)のあと、ヨルダンは(ぼく)(もど)って、それにティムは仲間(なかま)(もと)に。
(わる)い、用事(ようじ)があった。」
(ぼく)のせいか?」
「いやいや、キミなんかじゃない。キミは()っているよね、これは漁船(ぎょせん)とは。」
「そう。」
前回(ぜんかい)(あらし)で、(われ)らは一人(いちにん)(うしな)った。八人(はちにん)でも、あの(とき)はギリギリ()()けた。」
ヨルダンが(はな)しているながら、ティムは()乗員(じょういん)(あつ)めている。この(あいだ)みた乗員(じょういん)ともう一人(ひとり)上甲鈑(じょうこうばん)(とびら)から()たの()たことない開けっぱり(あお)いシャーツを()(おとこ)
今日(きょう)予報(よほう)()った、モンバサに(こう)するなら、また(あらし)(とお)()ぎてないと。」
「あっ、(ぼく)らは(ひと)()りないんだ。」
(あお)いシャーツ(おとこ)会話(かいわ)(まじ)わり。(かれ)(ぼく)らに()いていない、(かれ)地平線(ちへいせん)(あつ)まった積乱雲(せきらんうん)()いてる。
「その(あらし)()()けたいなら、お(まえ)(ちから)必要(ひつよう)だ。」
「あぁ、(たす)けする。」
(よる)島風(しまかぜ)がこの(ふね)()()(まえ)に、その(あらし)()きなきゃ。」
「そう()えば、セオドア君。キミ(きみ)はまだ全員紹介(ぜんいんしょうかい)してないよね。」
ヨルダンがそう言ったら、(あお)いシャーツの(おとこ)(ちか)づいて、そして握手(あくしゅ)(そな)えて。(かれ)(ぼく)よりチョット()(たか)い、()(わた)りだけくらい。(すこ)しイジイジしているが、(ぼく)(かれ)返事(へんじ)する。(かれ)(にぎ)りはけっこ(つよ)い。
(おれ)はダサン、この(ふね)船長(せんちょう)。」
「セオドア・クエンティン。」
ダサンの()(はな)(まえ)に、(つぎ)(おとこ)()っている。それを()ると、すぐ()移動(いどう)する。(つぎ)(はん)ズボンの(おとこ)
「ティムです。」
(びょう)だけ(かれ)(ぼく)()(はな)った、そして(ぼく)(つぎ)(おとこ)移動(いどう)する。今度(こんど)はモリーと()(おとこ)
()ってるよね、オレはモリー。」
(かれ)(にぎ)りは(つよ)すぎて、(ぼく)最初(さいしょ)()(はな)った。(かれ)(かお)から(かれ)はなんか満足(まんぞく)している。あの(とき)(かえ)しか?まいい。(つぎ)炎色(えんしょく)(しま)シャーツの(おとこ)。この(なか)には、(かれ)一番(いちばん)()(やす)格好(かっこう)している(おとこ)
(ぼく)はアルヴィ。」
アルヴィの(にぎ)りは最弱(さいじゃく)(よわ)いでも(かれ)最初(さいしょ)(はな)すなかった。最後(さいご)一番(いちばん)(わか)(おとこ)(ぼく)握手(あくしゅ)(そな)えてたら、(かれ)はハイタッチを(そな)えた。()まずいでも、(ぼく)はその()返事(へんじ)させた。
(ぼく)はペピー。」
それで全部(ぜんぶ)になった。(なに)()わずに(みな)(なが)めている。こんな(さわ)がしい(くみ)()ったら、(ぼく)はなんか不安(ふあん)になった。
(じつ)八人目(はちにんめ)乗員(じょういん)がいた、だが(かれ)前回(ぜんかい)(あらし)()くなった。」
ヨルダンは下甲鈑(かこうはん)()して、(かれ)はその八番(はちばん)死体(したい)(やす)めている部屋(へや)()しているだろう。その方向(ほうこう)なら、保健室(ほけんしつ)のとなりの部屋(へや)だろうな。
(かれ)()はベンだった。(なみ)()ちると()(しず)(まえ)にまだ(よん)時間(じかん)がある。その(まえ)(おれ)らはその(あらし)()いてなきゃ。」
ダサンが()った。
「そう、ダサンの()うとおり。」
ティムが(たた)えた。
理由(りゆう)大体(だいたい)()かった。真昼(まひる)から夜中(よなか)までは海風(かいふう)()く。それを使(つか)ったら(おか)(いた)るのは(らく)になる、(ぼく)たちはただ(なみ)()ってるだけ。
「あぁ、時間(じかん)がないんだ。荷物(にもつ)(たも)ってらない。」
甲鈑(こうばん)にあった(あな)()しながらペピーが()った。
乗員(じょういん)全員(ぜんいん)がザワメキ(はじ)めた。全員(ぜんいん)異見(いけん)なし。でも(みんな)(おな)(かお)をしている、心配(しんぱい)遠慮(えんりょ)(かれ)らの(かお)からには、(みな)(おそ)れている、あの八人目(はちにんめ)みたいに終焉(しゅうえん)(こわ)がってる。
「あの、()まんが。」
左手(ひだりて)()がってながら(ぼく)(まじ)わった、(かれ)らの()()く。(ぼく)意見(いけん)()らせる(まえ)に、(ぼく)(かれ)らのザワメキが()むまで()った。
(ぼく)無関係(むかんけい)ですが、でもあなた(たち)なんか友達(ともだち)にあった(こと)(おそ)れているかと(おも)って。」
「...」
(ぼく)はあの(ひと)じゃないけど、(かれ)ほどガンバル。いいえ、(かれ)よりもっとガンバル。」
(かれ)らの虚ろ(かお)からには、(ぼく)(ただ)しいだったような。(ぼく)(かれ)らにとって(まった)無関係(むかんけい)(ひと)。でも(かれ)らは(ぼく)(たす)かった、今度(こんど)(ぼく)(かれ)らを(たす)けないと。
「でもこうなら(ぼく)らはその(あらし)()()かない。シッカリしなきゃ。(ぼく)はガンバル、あなた(たち)もお(ねが)いする。」
()(こと)()ったな。そうだ。ソイツの()(とお)り。(おれ)らはいつもベン(べん)のことを(いた)みついてるにはいかない。弔意(ちょうい)かと(おも)った、でもこれはもう恐怖(きょうふ)だ。」
ダサン(ださん)(はな)すと、乗員(じょういん)(かお)(あか)るくになった。
()(こと)()った。」
(かれ)甲鈑(こうばん)扉入(とびらはい)(まえ)に、ヨルダンが(わら)ってそして()った。
モリーもアルヴィもペピーも一人(ひとり)ひとりの()()(もど)(まえ)(ぼく)(かた)(たた)いた。アルヴィとペピーは下甲鈑(したこうばん)()った、モリーとティムは甲鈑(こうばん)()()けてる。それで(ぼく)はダサンと二人(ふたり)になった。
「ベンはモリーとティムに帆係(ほがかり)する。アイツらに手伝(てつだ)ってくれ。」
「あぁ、そうする。」
ダサンと(ぼく)(わか)れた。ダサンが甲鈑(こうばん)(とびら)()かっているながら、(ぼく)はそして面舵(おもかじ)にあってティムに(ちか)づいてる。
「おう。」
積乱雲(せきらんうん)地平線(ちへいせん)(なが)めているティムを挨拶(あいさつ)した。
「...」
また地平線(ちへいせん)(なが)める(まえ)に、(かれ)はチョットだけ(ぼく)()いた。(かれ)はなんかまだその(あらし)(とお)()ける準備(じゅんび)をしている()たい。
「ダサンがあなた(たち)もに手伝(てつだ)ってくれって。(ぼく)はどうするの?」
(むす)()のつなぎ()わし(かた)してるか?」
「あ— あぁ。」
っていうか、どうやって(ぼく)はそんなことをしっている?一昨日(おととい)(こと)(おぼ)えてないのに、でもなんで(むす)()のつなぎ()わし方知(かたし)っている?
「それなら大丈夫(だいじょうぶ)。」
(すこ)()()いたら、(ふね)はよく(すす)めた。そうながら(しお)(あわ)(ぼく)(かお)繁吹(はんふ)き。(あらし)(ちか)づくほど、(そら)はドンドン(くら)くなる、そしてそよ(かぜ)暴風(ぼうふう)になる。
全員(ぜんいん)覚悟(かくご)出来(でき)たな!」
船橋(せんきょう)からダサンはさけんだ。
「ほらっ!(つな)()っていけ!」
モリーが帆檣(はんしょう)(のぼ)(はじ)めた()るとティムは(ぼく)(さけ)んだ。
(ほばしら)(した)にあった()(ほん)(つな)(ひろ)って、そしてその一本(いっぽん)はティムに()げた。その(つな)(もら)ったあと、(かれ)(なに)かを(ぼく)()げた。それを両手(りょうて)不器用(ぶきよう)()けた()った。()()ると、アレはフォールディングナイフだと()つけた。まぁ、(つな)(むす)びすると、ナイフ()ってるのは自然(しぜん)だし。
「モリーが()(おろ)したらすぐ()いて!」
(かれ)(いのち)(ぼく)(うなず)いた、そしてモリーが()()ろすを()って、そのフォールディングナイフをポコッとに()れた。(かれ)見上(みあ)げたら、雨粒(あまつぶ)()(はじ)まった。
一週間(いっしゅうかん)(あらし)二回(にかい)なんて、オレ()いてねな。」
ティムはため(いき)して、戯評(ぎひょう)をした。(ぼく)はただそれに返事(へんじ)苦笑(くしょう)した。
出来(でき)たぞ!」
帆檣(はんしょう)(うえ)からモリーが(さけ)んだ、そして僕達(ぼくたち)()()とす。ティム(てぃむ)はその()甲鈑(こうばん)()(まえ)にそれを(つか)まえた、そして()()いて(はじ)めた。
(なに)をボーッとしてるの?サッサと()いて!」
ノロノロの(ぼく)にティムは(しか)った。(かれ)()随分巻(ずいぶんま)いた。(ぼく)()()けないと。それで(ぼく)()いて(はじ)めた。()きが(ひら)らったら、ティムはすぐ()(つづ)ける。かれは()()かないほど()くが(はや)い。
その(はや)さなら、7M(メートル)()()くは(なが)くない。ティムはそして甲鈑(こうばん)(さく)()って、その()(おう)()い。(かれ)(ぼく)()いて、そして帆柱(ほばしら)()す、(ぼく)に「()()()めるに()け」って()ったように。
その(かん)に、モリ(もり)ーは帆柱(ほばしら)から()ろした、(ぼく)らに()けていく。この(なか)には、(ぼく)は「(なに)をするか」が()からない、一番(いちばん)(にぶ)い。
「そこに(のぼ)って、()()めろ!」
モリ(もり)ーは(ぼく)(こう)(のぼ)るって(めい)じた。(なに)()わずに、そうする。ティムは()っている(あいだ)に、(かれ)()()きを()って。
モリーは(ぼく)(ほう)()(ささ)げて、そして(ぼく)がその()(しば)()げてを()って。この(あめ)はもう豪雨(ごうう)になった。何分(なにぶん)だけで(ぼく)らはビショビショ()れている。モリーの長髪(ちょうはつ)のせいで、(かれ)(かみ)何度(なんど)(つくろ)ってた。(ぼく)(かみ)はそんなに(なが)くないから、そうはいらない。
結節(けっせつ)(むす)(まえ)にその帆巻(ほま)きは十回(じゅっかい)くらい(しば)った。その後僕(ごぼく)はモリーにサインをする、それを()ると、(かれ)はティムの(ところ)移動(いどう)する。これを()ると、(たし)かにモリーは(ぼく)より(つよ)い。この前帆巻(まえほま)きを(ささ)()たら、(ぼく)出来(でき)なかった。
「ティムさん、(ぼく)手伝(てつだ)おうか?」
(なん)しているティムに(ぼく)(さけ)んだ。
「いいえ、そっちにして!」
強風(きょうふう)(ふね)のユラリがティムを()るがす。(いん)()けるだけではセイッパイなのに、でも(かれ)頑張(がんば)(つづ)ける。そんなでも、(かれ)(ぼく)()(ことわ)った。
「アッ!」
(なに)があった?」
(いた)いそうな(さけ)くが()こえた。ティムを()ると、(かれ)左手(ひだりて)親指(おやゆび)人差(ひとさ)(ゆび)(あいだ)にを()いてる。(かれ)()()ってしまった()たい。
大丈夫(だいじょうぶ)か?」
モリーが()かせた。
「ナイフ()とした!」
そうだった。(かれ)()()ったとナイフが()とした。でも(かれ)はまだ()(しば)ってない。(ぼく)(しば)るのも(はや)めてる。
「ちょっと()って!すぐ()わるから!」
(かれ)らはシッカリしている()たいけど、でも(かれ)らは(はや)くと()しいだろう。
「よし!出来(でき)た!」
帆柱(ほばしら)から()()りて、そしてティムとモリーのもとに()く。でも甲鈑(こうばん)()くと、(ふね)潮流(ちょうりゅう)にぶつかった。そのショックは(ぼく)とモリーとティムを()()ばした。(ぼく)()()がるながら、モリーもティムを()()がらいてる。
そのナイフを(かれ)(わた)す、だがティムは(くび)()った。(かれ)()いてる()からには()(なが)れてる。その(きず)ふかそうな。
「オレ機関室(エンジン・ルーム)()かってくる、ここには役立(やくだ)たないし。()わりにアルヴィやペピーを(たの)むする。」
「いい、ティムさんはそこでいい。」
(ぼく)とモリーは(かれ)用事(ようじ)片付(かたづ)けなきゃ。アルヴィとペピーは甲鈑係(こうばんかかり)にならない。それだからティムの提案(ていあん)(ことわ)った。
「あぁ、お(まえ)はアイツらを()け。」
モリーが賛成(さんせい)した。
それに、アレはいらなかった。ティムが下甲鈑(かこうばん)(はい)った直ぐで、(ぼく)()(しば)った。その(むす)()(かた)くないか(たし)かめて、(すこ)()られた。
出来(でき)たか?」
モリーが()いた。
「あぁ。」
「じゃ、ここには()わったな。船橋(せんきょう)でまってよう。」
(ぼく)がナイフをポケットに()れたら、(すこ)(そら)(なが)めていて。この景色(けしき)、なんか(おぼ)えてるな。(ぼく)(なに)出来(でき)ずにただこう()たいの(そら)(なが)めてた、現実(げんじつ)()わからない(とき)(おな)じ。
(なに)してるの?」
モリーが船橋(ふなばし)(とびら)から(ぼく)(さけ)んだ。(こえ)(おお)きでも、(あらし)(こえ)があったらよく()こえなかった。でも(すこ)しだけ、(かれ)(こえ)()こえた。
「あぁ、今行(いまい)く。」
(あぶ)ない!」
下甲鈑(かこうばん)から(きゅう)悲鳴(ひめい)()こえた。ティムの(こえ)ではなく、アレはペピーの(こえ)だった。
「どうした?」
ペピーが(あわ)ててる(はし)っているを()ると(ぼく)()いた。
機関(きかん)がオーバーヒートしている!」
(なん)だと?」
「エンジンがオーバーヒートしているって!」
「どうすればいいの?」
()やさなきゃ!(みず)()ねてみて!」
()かった!ダサンに(つた)えて()る!」
ペピーと(わか)れた。(ぼく)はすぐ船橋(ふなばし)(とびら)()かって。
「ダサン!エンジンがオーバーヒートしている!」
その部屋(へや)()けた(とびら)からに(さけ)んでた、(こえ)(おお)きかった()がしたし。
「クソッ!()す!()すんだ!()やせてくれ!」
そうに()まってる。それを()くとすぐ、ピシっとドア(どあ)()めて、そして下甲鈑(したこうばん)機関室(きかんしつ)()った。でも下甲鈑に(はい)(まえ)に、アルヴィと出会(であ)った。(かれ)とブツカリ()しいかった。(かれ)()っているは四丁(よんちょう)(おけ)
「この(おけ)(そそ)げてくれ!」
「おぅ、(あと)ダサンがエンジンを()すって。」
()かった!」
(かれ)はその四丁(よんちょう)(おけ)(ぼく)(わた)した、それですぐ雨水(あまみず)()める。()めるには(なが)くない、(おけ)四半分(しはんぶん)()めていると、()三丁(さんちょう)(おけ)はもう(ひと)つに()()んでる。そしてその一杯(いっぱい)のおけを機関室(きかんしつ)()()げていた。
(みず)だ!」
「エンジンに()れ!」
(なに)()わずに、アルヴィの手順(てじゅん)(したが)える。一息(ひといき)(おけ)中身(なかみ)をエンジンに(かぶ)る。水蒸気(すいじょうき)がボヤボヤに()らせて、それじゃエンジンはまだ()いてる。
(みず)()って()る!」
()まらせずに上甲鈑(じょうこうばん)(はし)った。(おけ)全部(ぜんぶ)(あふ)れている。この(から)っぽの(おけ)()いて、そして二杯(にはい)(おけ)()()げていた。
津波(つなみ)だ!」
「ハァ?」
(だれ)かが船橋(ふなばし)から(さけ)んでいた、雨粒(あまつぶ)(かお)(いた)いが、でも見上(みあ)げると、ヨルダン(よるだん)船橋(ふなばし)から(のぞ)けている。
()(かじ)から津波(つなみ)()る!エンジンを()けろっ!」
「まだ()いている!」
(かじ)()れないと撃沈(げきちん)しまう!」
また下甲鈑(したこうばん)(はし)った、今度(こんど)二杯(にはい)(おけ)()っている。この廊下(ろうか)()てに()くと、(ぼく)保健室(ほけんしつ)(むか)いにあった機関室(きかんしつ)(はい)った。
「エンジンを()けろ!」
機関室入(きかんしつはい)った途端(とたん)(ぼく)(さけ)んだ。ティムもアルヴィもペピーは(ぼく)不服(ふふく)(にら)んでいる。(かれ)らが(ぼく)をまだ(にら)めているながら、(ぼく)(おけ)(かぶ)されている。
(なに)()ったお(まえ)?エンジンはまだ()いているだろう。」
アルヴィが返事(へんじ)をくれた、そうながら(かれ)平手(ひらて)でエンジンに()している。
()かってる。でも津波(つなみ)がくるそう。(かじ)()れなきゃ。」
「エンジン爆発(ばくはつ)しまうぞ!」
(ぼく)らが(わた)()える(なか)、その津波(つなみ)()まらずに(ちか)づいてるだろうが。エンジンを()けるしかいないだ!」
(から)っぽの(おけ)()いた、そして(つぎ)(おけ)(かぶ)(まえ)(ぼく)返事(へんじ)をした。
「クソ。エンジンを()けろ。」
アルヴィは(あきら)めた、エンジンがまだ()いても(かれ)はティムとペピーにエンジンを()けるって(めい)じた。(ぼく)(おけ)(かぶ)れている(なか)(かれ)らはまだエンジンをつけている。ペピーは発電機(はつでんき)索条(さくじょう)(つつ)む、そして発電機(はつでんき)()けるにその索条(さくじょう)何度(なんど)も引っ()った、(ぼく)(おけ)(かぶ)った(あと)、その発電機(はつでんき)はやっと()けた。
(ぼく)(みず)()ってくる、そしてダサンに()われてくる!」
(おけ)(ひろ)って、そして上甲鈑(じょうこうばん)(はし)()けた。甲鈑(こうばん)()くと(ぼく)()っている(おけ)()(かえ)して、その後僕(ごぼく)船橋(ふなばし)見上(みあ)げてる。
「エンジンは()けた!」
「もうダメだ!(なに)かに(つか)まえろ!」
ヨルダンは注意(ちゅうい)した。()(すみ)から()かけた。()(かじ)から、最初(さいしょ)(そら)かと(おも)った、10M(メートル)くらいの津波(つなみ)()()びている。(ぼく)(おび)えてて、(おけ)まで()としちゃた。
()げるもないか。
正気(しょうき)になったら(ぼく)はすぐ()舵甲鈑(かじこうばん)(さく)(はし)ってそして(つか)まえた。機関室(きかんしつ)連中(れんちゅう)()われたかった、でも時間(じかん)がない。でもなぜか、(ぼく)(さく)(つか)まっている(とき)(ぼく)はまた鼻血(はなぢ)()るそう。なんてタイミングだ。
「じゃ———(きみ)(うみ)()()くは約束(やくそく)ね。」
(なに)?」
(だれ)かの(ささや)きが()こえた。どうして?(だれ)かがここで(さけ)んでも、ギリギリに()こえてるのに。だがこの(ささや)きはハッキリ(はっきり)()こえた。
その(いや)(けい)(こえ)()っている。アレは(ゆめ)()った(しろ)(かげ)(こえ)だった。僕今夢(ぼくいまゆめ)していないよね?それを(たし)かめて、(ぼく)親指(おやゆび)()む。(いた)い。(ゆめ)じゃない。じゃ(なん)でその(こえ)()こえてるの?
津波(つなみ)()ちたら、その水勢(すいせい)(ふね)に45()(かたむ)けている。(なが)れていて、この(ふね)はもっと(かたむ)けていく。ちょっとだけ(かたむ)けると、この(ふね)(ころ)がりする。
(いま)は、(あたま)(するど)頭痛(ずつう)している、鼻血(はなぢ)()まらない。(いた)みを(おさ)えてに()()じて(はま)()せて、()右手(みぎて)()した。でもどうしてもこの頭痛(ずつう)(するど)すぎて(たん)まらないた。
「...」
しばらく()()じると、不思議(ふしぎ)(もの)があった。(あめ)(おと)(きゅう)()まった、その()わりに(おだ)やかな(なみ)(おと)になった。ソット()()けると、頭痛(ずつう)(いた)みは()してゆく。()適応(てきおう)しているうちに、(ぼく)()ることはありえない風景(ふうけい)だった。
(なん)(せん)の、いや、(なん)の百億の雨粒が目の前に浮かんでいる。空はまだ暗いでも、嵐が消えた。
「何があっ——」
ティムとアルヴィとペピーは(おどろ)いた(かお)下甲鈑(かこうばん)から()していた。(ぼく)はそっと()()がってこの状況(じょうきょう)理解(りかい)して()た。ヨルダンとモリーとダサンもそんな(かお)をしている。
(ひと)つの雨粒(あまつぶ)(さわ)ると、その雨粒(あまつぶ)ゲル(げる)()たいに(ひろ)がってく。(ゆび)()がっても、その雨粒(あまつぶ)(もと)(かたち)(もど)らない。甲鈑(こうばん)にあった(おとこ)たちもそうやって()たら、結果(けっか)(おな)じ。
最初(さいしょ)にこの幻想的(げんそうてき)現象(げんしょう)から(もど)ったはダサン。(うみ)冷静(れいせい)しているうちに、(かれ)はすぐ(ふね)(うご)かせる。このままで、(ぼく)らはこの(あらし)を生き()けた。その()も、(なに)があったか(ぼく)らはまだ()からないまま。
乗員(じょういん)全員(ぜんいん)合理的(ごうりてき)説明(せつめい)(はな)してみた。でもペピーの超自然(ちょうしぜん)話以上(はなしいじょう)には、(みな)毛唐(もうとう)()かなかった。でも(ぼく)はなんか、それは自分(じぶん)のせいかもしれないとか(おも)った。
何時間(なんじかん)(あと)(ぼく)(よる)(おだ)やかな地平線(ちへいせん)(なが)めている(とき)、ヨルダンは(ぼく)()った。(かれ)(ぼく)()()ったココアをくれた。
今日(きょう)はどう(おも)う?」
(かれ)がそう()いたら、()(あや)しく()えた。(かれ)(ぼく)(なに)かをしたかと(おも)うだろう。
(ぼく)()からない。」
(かれ)(なに)(おも)ってるかは()からないけど、でも(かれ)はぼくに(しん)じているみたい。
「それよりさ、ありがとう。」
「なにを?(ぼく)(なに)もしてなかったよ。」
(かれ)はまた沈黙(ちんもく)した、(こた)えを(かんが)えてた。
(ひと)()いたい(こと)がある。」
(なん)だ?」
(わたし)がソイツらがキミをモンバサに()かって()るって()った(とき)(おぼ)えるな?」
「そうですが。」
(わたし)(うそ)をついた、ソイツらはキミに()かって()れない。」
「いいよ、(ぼく)はインドに(なん)とかする。」
「そうじゃない。」
「ん?」
(わたし)()うのは、ソイツらはキミを()かって()(ため)()ってるではなく。」
「ヨルダンさん、(なに)()ってるの?」
昨日(きのう)(われ)らがキミの(こと)報告(ほうこく)すると、(われ)らは()ったんだ。キミは飛行機(ひこうき)事故(じこ)被害者(ひがいしゃ)じゃなくて、キミは飛行機(ひこうき)事故(じこ)加害者(かがいしゃ)だって。」
「えっ?」
「キミが(さが)されている理由(りゆう)は、キミはグレヤ・アインホーンの私立(しりつ)企業(きぎょう)のヘリコプターを墜落(ついらく)しただって()った。」
(かれ)()ったことは(ぼく)にショックを()たった。感情(かんじょう)複雑(ふくざつ)になった。思考(しこう)はその情報(じょうほう)(さば)いてるに(いそが)しくて、自分(じぶん)()(ふく)らめた、(すべ)ての(まわ)りに()こえなくなる。
「いま、(なん)()った?」
またあの()だ。自分(じぶん)何度(なんど)()いてた名前(なまえ)だった。その()重要(じゅうよう)だって()かる、でも(なに)だって?(ぼく)飛行機(ひこうき)墜落(ついらく)した?(ぼく)(なに)があったんだ?記憶(きおく)(うしな)って、何度(なんど)夢想(むそう)()た、自分(じぶん)本名(ほんみょう)まで()らないのに、そしてこの(まえ)()った(こと)は...
(ぼく)一体(いったい)(なに)(もの)なんだ?
fsc
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